前回の記事では、学生納付特例制度の仕組みや、追納制度について整理しました。
学生納付特例制度を利用した期間は、将来の年金を受け取るために必要な受給資格期間には含まれますが、そのままでは年金額には反映されません。そのため、将来の年金額を増やしたい場合には「追納」という選択肢があります。
私自身も学生時代に学生納付特例制度を利用していました。そして先日、その期間のうち約7年分の国民年金保険料を追納しました。
もちろん、この判断に絶対的な正解があるとは思っていません。
実際に調べてみると、
- 年金制度の将来性を考えると追納しない方がよい
- 追納するお金があるなら投資に回した方が資産は増えやすい
といった考え方も多く見かけました。
私自身も、それらの意見を読んだうえで、最終的に追納を選びました。
今回は、そのときに自分が何を判断材料にしたのかを整理してみたいと思います。
理由① 「生涯受け取れる収入」という価値を重視した
私が追納を決めた一つ目の理由は、国民年金が、生涯にわたって受け取れる公的年金制度であるという点でした。
老後資金について考えるとき、多くの人は、
- 現金
- 投資信託
- 株式
などの資産を思い浮かべると思います。
もちろん、私もNISAやiDeCoを利用して資産形成を続けています。しかし、それらは基本的に、自分で取り崩して使う資産です。
一方で、公的年金は、一度受給が始まると、生涯にわたって一定額を受け取り続けることができます。もちろん制度は将来変更される可能性がありますし、受給額が保証されているわけではありません。
それでも、「長生きした場合にも一定の収入が続く」という点は、公的年金ならではの特徴だと考えました。
「増やす資産」と「支えてくれる収入」は少し違う
私は投資が好きです。だからこそ、「追納するくらいなら投資した方が資産は増えるかもしれない」という考え方にも納得できます。
しかし、投資で増える資産と、老後に毎月受け取る収入は、同じ「資産」でも役割が違うように感じています。
投資は、将来の資産を増やすためのもの。一方、公的年金は、老後の生活を支える土台になるもの。
私の中では、そのように整理できました。
理由② 老後の資産全体を考えたかった
もう一つの理由は、老後の資産ポートフォリオを考えたことです。
以前の記事でも書いたように、私は現在、
- 生活防衛資金としての現金
- NISAやiDeCoで積み立てている投資信託
- 高配当株を中心とした国内個別株
という形で資産形成を進めています。
今後も長期投資を続ける予定なので、老後には現在よりも株式や投資信託の割合が高くなっている可能性があります。
もちろん、そのこと自体は悪いことではありません。しかし、資産全体が値動きのある金融商品に偏りすぎることには、少し不安もありました。
年金も「資産全体」の一部として考える
FP3級の勉強を始めるまでは、私は年金を「国が将来払ってくれるもの」くらいにしか考えていませんでした。
しかし学習を進める中で、年金も、老後の生活を支える重要な資産の一つとして考えられるようになりました。
そう考えると、投資信託や株式だけで老後資金を準備するのではなく、公的年金という「毎月受け取れる収入」も資産全体の一部として持っておくことには意味があるように感じました。
私にとって追納は、年金額を増やすというよりも、老後の資産全体のバランスを整えるための選択だったのです。
FP3級の知識は、「答え」ではなく「判断軸」をくれた
今回改めて感じたのは、FP3級で学んだ知識は、「追納すべき」という答えを教えてくれたわけではないということです。
むしろ、
- 投資という選択肢
- 公的年金という選択肢
- 老後の資産配分
- キャッシュフロー
こうしたものを、一つずつ整理して考えられるようになったことが大きかったと思います。
以前の私は、「払うか、払わないか」という二択で考えていました。
しかし今は、「自分の資産全体をどう設計したいのか」という視点から考えられるようになりました。
私にとっての追納という選択
今回の記事は、「追納した方がよい」という話ではありません。
投資を重視する人もいれば、現金を多めに持ちたい人もいます。人によって、家族構成や収入、資産状況も違います。
だからこそ、追納するかどうかにも正解はありません。
私の場合は、FP3級の学習を通して、年金も老後資産の一部として考えられるようになり、その結果として追納することを選びました。
知識が増えたことで「正しい答え」が分かったというより、自分なりの判断軸を持てたことが、一番大きな収穫だったように思います。
Money Literacy Labでは、これからも「何が正解か」を示すのではなく、「どのような視点で考えると、自分なりの答えを見つけやすくなるか」を、実体験を交えながら整理していきたいと思います。
学生納付特例制度や追納の仕組みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

※本記事は筆者の個人的な経験や考え方を整理したものであり、国民年金保険料の追納を推奨することを目的としたものではありません。追納のメリット・デメリットは、年齢、収入、資産状況、ライフプランなどによって異なります。本記事が、ご自身に合った選択を考えるための一つの材料となれば幸いです。

