―貯蓄型保険を勧められたとき、私が考えたこと
お金に関する判断は、こちらの準備が整っているときにやってくるとは限りません。
むしろ、気持ちの整理が追いつかないような状況で、突然迫られることの方が多いと感じています。
お金の判断を迫られる場面は、突然やってくる
私は20歳のとき、母を癌で亡くしました。
ありがたいことに、母は生命保険に加入しており、父が保険金の受取人となっていました。
父はすでに定年退職しており、年金や貯蓄で生活費は賄えるからと、受け取った保険金の一部を私に贈与したいと考えてくれました。
その際、保険会社の担当者から、
「贈与税がかからない範囲で、私名義の貯蓄型生命保険に加入してはどうか」
という提案がありました。
提案された「貯蓄型生命保険」は、悪い話ではなかった
正直に言えば、この提案は一見すると合理的でした。
- 贈与税の非課税枠を意識している
- 将来に備えるという目的にも合っている
- 保険会社としては自然な提案
決して、強引な勧誘だったわけでもありません。
だからこそ、その場で「これはおかしい」と即座に否定することはしませんでした。
その場で「判断を急がなかった」理由
私がまず考えたのは、
「今の自分にとって、本当に必要なものは何か」
という点でした。
本記事執筆時点で、私には養う家族はいません。
生活防衛資金としての貯蓄も、最低限は確保できていました。
一方で、投資信託などのリスク資産の評価額が増えていた影響で、資産全体に占める現金の割合がかなり下がっていることにも気づいていました。
ポートフォリオという考え方が役に立った
保有する資産の組み合わせや配分は、ポートフォリオと呼ばれます。
株や投資信託などの価格変動のある資産に偏りすぎると、相場が下落したときに、資産全体が大きく目減りしてしまう可能性があります。
どの程度の下落まで耐えられるかは、その人のリスク許容度によって異なります。
この考え方を知っていたことで、私は今回の保険金について、
- 新たな金融商品として保有するのか
- 現金として受け取り、資産配分を整えるのか
という視点で考えることができました。
「加入しない」という判断ができた理由
その結果、私は、
今回の保険金は、貯蓄型生命保険には加入せず、現金で受け取る
という判断をしました。
これは、貯蓄型生命保険そのものを否定する判断ではありません。
商品としてのメリットがあることも理解しています。
ただ、今の私にとっては必要のない商品だと考えた。
それだけのことです。
知識は「断るため」ではなく「考えるため」にある
この判断ができた背景には、FPや金融に関する基礎的な知識がありました。
FPの勉強を通して、保険、税金、資産形成などについて基本的な仕組みを知っていたことで、提案された商品を「勧められたから加入する」「保険だから安心だと考える」のではなく、自分の状況と照らし合わせて考えることができました。
知識があったから、貯蓄型生命保険を「悪い商品」と判断できたわけではありません。
むしろ、一度立ち止まって、
「この商品は、今の自分に本当に必要なのか」
と考えることができたのだと思います。
FP3級レベルの知識でも、十分に役に立つ
今回のような判断に必要だった知識は、決して高度なものではありません。
FP3級で学ぶような、
- 保険の基本的な種類
- 贈与と税金の考え方
- 資産配分の基礎
こうした知識を知っているだけでも、「その場で流されない」ための支えになります。
FPの勉強というと、資格を取るための勉強というイメージが強いかもしれません。
しかし、実際に勉強してみると、日常生活の中でお金について判断するときの「ものさし」を増やすことにもつながると感じています。
お金の知識は、人生の選択肢を守るためにある
お金の知識は、必ずしも「増やすため」だけのものではありません。
自分にとって必要なものと、そうではないものを考える。
そして、自分にとって不要な選択を、落ち着いて避ける。
それも、金融知識を身につける意味の一つだと、私は感じています。
Money Literacy Labでは、こうした実体験を通して、「何を選ぶべきか」だけではなく、「どう考えればよいか」を丁寧に整理していきたいと考えています。
※本記事は筆者の個人的な経験や考え方をもとに、金融商品との向き合い方について紹介したものです。特定の金融商品や保険商品の加入・解約を推奨するものではありません。金融商品にはそれぞれメリット・デメリットがあり、適切な選択は家族構成、資産状況、保障の必要性などによって異なります。最終的な判断は、ご自身の状況を踏まえて行ってください。

