築37年の賃貸住宅に住んで気づいたこと―家賃も築年数も、「数字」だけでは暮らしの価値は分からない

私は現在、築37年の鉄筋コンクリート造、2LDKの賃貸住宅に住んでいます。

「築37年」

不動産屋さんから最初にこの数字を聞いたとき、正直なところ、私は少し後ろ向きになりました。

古くないだろうか。

設備に問題はないだろうか。

快適に生活できるだろうか。

しかし、実際に内見し、条件を一つずつ確認した結果、私たちはこの物件を選びました。

そして、住み始めて約4ヶ月。

結論から言うと、今のところ私は、

この家を選んで本当によかった

と思っています。

今回書きたいのは、「築古物件がおすすめ」という話ではありません。

築年数が古くても、物件の状態や管理状況、設備などによって住み心地は大きく異なるでしょう。

むしろ、この家を選んだ経験を通して、

「私は住まいの何にお金を払いたいのだろう」

と改めて考えるようになった、という話です。

目次

結婚をきっかけに、2人で暮らす家を探し始めた

私ごとで恐縮ですが、かねてより交際していた方と2026年8月に入籍しました。

結婚にあたり、それより少し前の7月から同棲生活を始めることになり、2人で暮らすための賃貸住宅を探し始めました。

家を探すときには、

「できるだけ新しい家がいい」

「広い家がいい」

「駅に近い方がいい」

「設備も充実していてほしい」

と、希望を挙げればきりがありません。

しかし、当然ながら予算には限りがあります。

そこで私たちは、いきなり物件を探すのではなく、

自分たちが住まいに何を求めるのか

を一つずつ整理することにしました。

最初に決めたのは「いくらまでなら無理なく払えるか」

まず考えたのは家賃です。

住居費は、一度契約すると基本的に毎月発生する大きな固定費です。

だからといって、私は、

「家賃は安ければ安いほどいい」

とは考えていません。

住まいは、毎日の生活の多くの時間を過ごす場所です。

安さだけを優先して、通勤に時間がかかったり、必要な広さがなかったり、生活に大きな不便を感じたりするのであれば、それが私たちにとって本当に良い選択なのかは分かりません。

一方で、住居費を大きくしすぎれば、家計に占める固定費が増えます。

その分、貯蓄や資産形成、旅行、趣味、将来の大きな支出など、ほかのことに使えるお金は少なくなります。

そこで私たちは、

毎月の手取り収入はいくらあるのか。

毎月の生活費はいくらくらい必要なのか。

将来に向けた貯蓄や資産形成にどのくらいお金を回したいのか。

そうしたことを2人で話し合い、

「この範囲なら、家計を圧迫せずに無理なく払い続けられる」

という家賃の予算を先に決めました。

つまり、私たちが最初に考えたのは、

一番安い家を探すことではなく、自分たちの生活全体から住居費に使える金額を考えること

でした。

私は以前、収入が少なかった時期にも、目の前の1ヶ月だけではなく、数年単位で支出を考えるようにしていました。

住居費についても、単純に「今月払えるか」ではなく、貯蓄や資産形成などを含めた生活全体の中で考えることが大切だと思っています。

次に「自分たちに必要な条件」を整理した

家賃の予算を決めた後は、物件に求める条件を整理しました。

まず必要だったのが、

2LDK

です。

夫婦2人で生活するだけなら、もっとコンパクトな間取りでも十分かもしれません。

しかし、私の場合、週に1度程度の在宅勤務があります。

さらに、週末にオンライン会議が入ることもあります。

そのため、

リビング・ダイニング。

主寝室。

そして、仕事に集中できる部屋。

この3つの空間が欲しいと考え、2LDKを条件にしました。

駅からの近さも、私たちにとっては重要だった

次に優先順位が高かったのが、

最寄り駅からの距離

です。

妻は車を運転しないため、通勤には電車を使います。

毎日の通勤を考えると、

「駅から多少遠くても家賃が安ければいい」

とは考えませんでした。

駅から家まで毎日20分歩くのと、数分で帰れるのとでは、日々の生活にかかる時間も負担も違います。

そのため、駅から近いことには、ある程度お金を払う価値があると考えました。

私には駐車場も必要だった

一方、私は仕事の都合上、自家用車で通勤する必要があります。

そこで、

駐車場に空きがあること

も条件に加えました。

近隣の月極駐車場を別途探す方法もあります。

しかし、毎日のことを考えれば、可能であれば住んでいる建物に駐車場が併設されている方が便利です。

こうして、

予算内であること

2LDKであること

駅から近いこと

駐車場が確保できること

という、自分たちにとって重要な条件が少しずつ見えてきました。

ところが、条件を満たす物件がほとんど見つからなかった

条件が決まったので、物件を探し始めました。

ところが、ここで困りました。

当初決めていた予算の範囲内で、

2LDK。

駅近。

駐車場あり。

そして、できれば状態の良い物件。

こうした条件を満たす賃貸住宅が、なかなか見つからなかったのです。

もちろん、予算を上げれば候補は増えます。

しかし、それでは最初に2人で決めた家計の方針から外れてしまいます。

反対に、家賃だけを優先すれば、駅から遠くしたり、間取りを狭くしたりする必要があります。

そこで私たちは、

「何を諦めるか」ではなく、「自分たちは何を本当に優先したいのか」

を改めて考えることになりました。

「築年数」の優先順位を下げてみた

そんな中、実際に不動産屋さんへ足を運びました。

そこで担当者の方から聞いたのが、

築年数が古くても、管理や手入れが行き届き、室内がリノベーションされている物件であれば、快適に生活できる場合がある

という話でした。

そこで紹介してもらったのが、現在住んでいる物件です。

築37年。

最初にこの数字を聞いたとき、私はかなり不安でした。

それまで物件を探す中で、無意識のうちに、

築年数が新しい=きれいで快適

築年数が古い=古くて不便

というイメージを持っていたのだと思います。

しかし、私たちが本当に必要としていたのは、

「築浅」という条件そのものだったのだろうか。

そう考えると、少し見方が変わりました。

実際に内見して、「築37年」のイメージが変わった

紹介された物件は、私たちが重要だと考えていた条件をかなり満たしていました。

2LDK。

最寄り駅から徒歩数分。

駐車場あり。

鉄筋コンクリート造。

さらに、最上階の角部屋でした。

そして家賃は、

当初設定していた予算より数千円安い

という条件でした。

それでも、

「でも、築37年か……」

という気持ちは残っていました。

ところが、実際に内見してみると、その印象は大きく変わりました。

室内はリノベーションされていました。

部屋全体には明るい色のフローリングが使われていて、室内がとても明るく感じられました。

キッチンも白を基調とした対面キッチンになっており、非常に清潔感がありました。

部屋を見渡しても、

とても築37年の建物の室内とは思えない

というのが、最初に感じたことでした。

もちろん、建物そのものが築37年であるという事実が変わるわけではありません。

しかし、

「築37年」=「37年前の状態の部屋」

ではなかったのです。

そこで私は、

自分は物件そのものを見る前に、「築37年」という数字を見て判断しようとしていたのかもしれない

と思いました。

築年数は大切。でも、築年数だけでは分からない

もちろん、

「築年数なんて気にする必要はない」

と言いたいわけではありません。

築年数は、住宅を選ぶうえで大切な情報の一つです。

建物の設備や構造、耐震性、配管、断熱性能、修繕状況など、古い建物だからこそ確認しておきたい点もあります。

また、鉄筋コンクリート造だからといって、すべての建物で防音性や耐震性が同じというわけでもありません。

建物の状態や施工、管理状況などによって違いがあります。

だから、

「築古だから問題ない」

とも、

「鉄筋コンクリート造だから絶対に安心」

とも言えません。

私が今回感じたのは、

築年数を無視するのではなく、築年数という一つの数字だけで物件全体の価値を決めないこと

の大切さです。

4ヶ月住んでみて、この選択は正解だったのか

そして、この物件に住み始めて約4ヶ月が経ちました。

今、改めて、

「この家を選んだことは正解だったか」

と聞かれれば、私は、

今のところ、本当にこの家にしてよかった

と答えます。

もちろん、まだ4ヶ月です。

これから長く住む中で、築年数の古さによる問題が出てくる可能性もあります。

そのため、4ヶ月住んだだけで、

「築古物件でも何も問題はない」

と一般化するつもりはありません。

それでも、少なくとも今の生活に対する満足度はかなり高いです。

実際に暮らしてみると、「駅から数分」の価値は想像以上だった

特に大きいのが、

駅から近いこと

です。

妻の通勤に便利なのはもちろんですが、私自身も駅の近さの恩恵をかなり受けています。

都市部へ出かける際には、駐車場を探したり、駐車料金を気にしたりする必要があります。

そのため、私も電車を利用することが少なくありません。

そんなとき、自宅から歩いて数分で駅へ行けて、さらに都心部の駅まで乗り換えなしで行けるのは非常に快適です。

家を探していたときにも「駅近」は重要な条件にしていました。

しかし実際に住んでみると、

駅から近いことに自分たちが感じる価値は、想像していた以上に大きかった

と感じています。

コンビニ徒歩1分、スーパー徒歩5分も生活の質を上げてくれた

さらに、これは物件探しの段階では最優先条件にしていなかったのですが、

コンビニまで徒歩約1分

スーパーまで徒歩約5分

という立地も非常に便利でした。

ちょっとしたものを買い忘れたとき。

仕事から帰ってきて買い物をするとき。

休日に食材を買いに行くとき。

一回一回は小さなことです。

しかし、毎日の生活では、その小さな便利さが何度も積み重なります。

住み始める前には、それほど大きな価値だとは考えていなかった条件が、

実際に生活すると、生活の質をかなり高めてくれている。

これも住んでみて初めて分かったことでした。

音についても、今のところほとんど気にならない

私は仕事柄、自宅で仕事をしたり、オンライン会議をしたりすることがあります。

そのため、生活音も気になっていました。

現在の物件は鉄筋コンクリート造で、さらに最上階の角部屋です。

もちろん、建物の遮音性能は構造だけで決まるものではありません。

しかし、少なくとも私たちが実際に4ヶ月生活した範囲では、

隣室や下の階からの音が気になることはほとんどありませんでした。

仕事部屋も確保できています。

家で仕事をする日には集中でき、夫婦それぞれが別の空間で過ごすこともできます。

これも、家探しの段階で2LDKを優先したことが、実際の生活につながっている部分です。

私たちは「築古で妥協した」のではなかった

今振り返ってみると、

「予算が足りなかったから、築37年の物件で妥協した」

という感覚はありません。

むしろ、

自分たちにとって何が重要なのかを考えた結果、築年数の優先順位を下げた

という方が近いと思います。

私たちが重視したかったのは、

駅から近いこと。

必要な広さがあること。

私が仕事をできる部屋があること。

駐車場があること。

日常生活が便利であること。

室内がきれいで、気持ちよく暮らせること。

そして、家賃が自分たちの家計にとって無理のない範囲であること。

そこに、

「築浅であること」

まで求めると、家賃をさらに上げる必要がありました。

そこで私たちは、築年数そのものにお金を払う優先順位を下げました。

その代わり、

自分たちが毎日の生活で実際に価値を感じるものを優先した

ということなのだと思います。

節約とは「一番安いものを選ぶこと」ではないのかもしれない

今回の家探しを通して、私は「節約」という言葉についても少し考えるようになりました。

節約というと、

とにかく支出を減らすこと

というイメージがあります。

しかし、私たちは一番安い物件を選んだわけではありません。

駅から遠くすれば、もっと安い物件があったかもしれません。

もっと狭い間取りにすれば、さらに住居費を下げられたかもしれません。

それでも、私たちはそうしませんでした。

駅から近いことには、お金を使う。

仕事部屋を確保するための広さにも、お金を使う。

一方で、

築年数の新しさには、それほど多くのお金を使わない。

そうやって、自分たちにとっての優先順位を決めました。

だから今回の選択は、単純な「節約」とは少し違うように感じています。

自分たちにとって価値の低いものには必要以上にお金をかけず、価値の高いものにはきちんとお金を使う。

私は、そんなお金の使い方をしていきたいと思っています。

私は以前、投資信託を積み立てる中で、リスク許容度も最初から決まっているものではなく、経験を通して少しずつ分かっていくものなのではないかと考えたことがあります。

住まいについても、実際に生活して初めて「自分は何に価値を感じるのか」が見えてくる部分があるのだと思います。

「築37年」という数字だけを見ていたら、この家には出会えなかった

もし物件を探していたとき、

「築10年以内」

などの条件を絶対条件にしていたら、今の家は検索結果にも残らなかったでしょう。

築37年。

その数字だけを見れば、私は最初から候補から外していたかもしれません。

でも実際には、

明るいフローリング。

白い対面キッチン。

清潔感のあるリノベーションされた室内。

2LDKの間取り。

駅まで徒歩数分。

駐車場あり。

最上階角部屋。

徒歩圏内のスーパーやコンビニ。

そして、予算より少し安い家賃。

私たちにとって重要だった条件を、一つずつ満たしていました。

そう考えると、

「築37年」という一つの数字だけでこの物件を除外しなくて、本当によかった

と思います。

お金と同じで、数字は大切。でも数字だけでは分からない

今回の経験を通して、私はお金について考えるときと少し似ていると感じました。

家探しをすると、たくさんの数字が並びます。

家賃はいくら。

築何年。

駅徒歩何分。

専有面積は何㎡。

敷金・礼金はいくら。

数字は、物件を比較するためにとても大切です。

だから私たちも、最初に家計を確認し、住居費にいくらまで使えるのかを考えました。

数字を無視して家を選んだわけではありません。

むしろ、数字を先に確認したからこそ、その予算の中で何を優先するのかを考えることができました。

しかし同時に、

数字だけでは分からないこともある

と感じました。

「築37年」という数字から私が想像していた部屋と、実際に内見した部屋は大きく違いました。

そして実際に4ヶ月生活して感じている快適さも、築年数という一つの数字だけからは想像できませんでした。

最後にその家で生活するのは、数字ではなく、自分たちです。

だから私は、

数字を無視しない。でも、数字だけでも決めない。

ということが大切なのだと思います。

自分が何に価値を感じるのかを知ることも、マネーリテラシーだと思う

Money Literacy Labでは、これまでお金について考えるとき、

「何が一番得なのか」だけで決めない

ということを大切にしてきました。

住まいについても、同じなのかもしれません。

一番安い物件を選ぶことが、必ずしも正解ではない。

一番新しい物件を選ぶことが、必ずしも正解でもない。

大切なのは、

自分たちは何に価値を感じるのか。

そして、

その価値に対して、どのくらいならお金を払いたいのか。

を考えることだと思います。

私たちの場合は、築年数の新しさよりも、

駅からの近さ。

必要な広さ。

仕事ができる空間。

駐車場。

日々の買い物の便利さ。

清潔で気持ちよく暮らせる室内。

そして、家計を圧迫しない家賃。

そうしたものに、より大きな価値を感じました。

その優先順位を考えた結果、私たちが選んだのが、

たまたま築37年の家だった

ということなのだと思います。

「何が正解か」を先に決めるのではなく、制度や数字を理解したうえで、自分の場合について考え、自分なりに選択する。

これは、Money Literacy Labで大切にしている考え方でもあります。

まとめ|4ヶ月暮らした今、この家を選んでよかったと思っている

築37年。

入居前の私にとって、この数字は大きな不安材料でした。

しかし、実際に物件を見て、4ヶ月生活した今は、その数字に対する印象が大きく変わりました。

だからといって、

「築古物件はおすすめです」

と言いたいわけではありません。

築年数の古い住宅には、建物や設備、管理状況など、きちんと確認しなければならないことがあります。

また、住まいに何を求めるのかは、人によってまったく違います。

築浅で最新設備の整った住宅に大きな価値を感じる人もいるでしょう。

駅から多少離れていても、広い住宅に住みたい人もいるでしょう。

それでいいのだと思います。

重要なのは、

自分が何に価値を感じているのかを知ること。

そして、

自分にとって大切なものにお金を使うこと。

家賃も、築年数も、駅からの距離も、住まいを考えるうえで大切な数字です。

でも、その数字が自分の生活にとって何を意味するのかは、人によって違います。

数字を無視しない。でも、数字だけでも決めない。

私は今回の家探しを通して、そのことを改めて実感しました。

一番安いものを選ぶことでもない。

一番新しいものを選ぶことでもない。

自分にとって大切なものを知り、そこにお金を使う。

それもまた、マネーリテラシーの一つなのではないかと思います。

住み始めて約4ヶ月。

今のところ、私はこの築37年の家を選んで本当によかったと思っています。

これから長く暮らしていく中で、この評価がどう変わっていくのか。

それも含めて、またいつか書いてみたいと思います。

※本記事は、筆者自身の賃貸住宅選びと約4ヶ月の居住経験をもとに、住まいとお金について考えたことをまとめたものです。築年数が古い住宅への入居を一律に推奨するものではありません。建物の状態や耐震性、遮音性、設備、修繕・管理状況などは物件ごとに異なります。賃貸住宅を選ぶ際には、築年数や構造だけで判断せず、実際の物件の状態、契約条件、周辺環境などを確認したうえで、ご自身の家計や生活スタイルに合った住まいをご検討ください。

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この記事を書いた人

大学で外国語教育に携わるかたわら、お金について学び、実践しています。FP3級取得。Money Literacy Labでは、家計管理・投資・保険・税金などについて、自分自身の経験と学びをもとに発信しています。

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