「給料から毎月たくさん引かれているけれど、これって全部税金なの?」
「健康保険料や厚生年金保険料も税金じゃないの?」
給与明細を見て、このように感じたことがある方もいるのではないでしょうか。
給与からは、
- 所得税
- 住民税
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 介護保険料
など、さまざまなお金が差し引かれます。
すべて同じ「控除」の欄に並んでいることも多いため、
「給料から引かれるお金=税金」
と思ってしまうのも無理はありません。
しかし、税金と社会保険料は別のものです。
この記事では、税金と社会保険料がそれぞれ何のためのお金なのか、どのような違いがあるのかを、給与明細を初めて見る方にも分かるように解説します。
結論|税金と社会保険料は別のもの
まず、最も重要なことから確認しましょう。
税金と社会保険料は同じものではありません。
たとえば、
所得税・住民税 → 税金
健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料 → 社会保険料
です。
給与明細では同じように給与から差し引かれていても、制度上の意味は異なります。
まずは、この違いを理解するだけでも給与明細はかなり読みやすくなります。
税金とは?
税金は、国や地方公共団体がさまざまな行政サービスなどを行うための財源になります。
会社員の給与明細で特に身近なのが、
所得税
と
住民税
です。
所得税は国に納める税金です。
住民税は都道府県や市区町村に納める地方税です。
同じ「税金」でも、仕組みは異なります。
所得税と住民税の違いや、それぞれがどのように給与から差し引かれるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

社会保険料とは?
社会保険は、病気やけが、老後、障害、死亡、介護、失業など、生活上のさまざまなリスクに社会全体で備えるための仕組みです。
会社員に身近なものとして、
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
などがあります。
たとえば、健康保険は病気やけがなど、厚生年金は老齢・障害・死亡など、介護保険は介護、雇用保険は失業や育児・介護休業などに関係します。
それぞれの制度が何に備えているのか、保険料がどのように決まるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

税金と社会保険料を比較してみよう
大まかに整理すると、次のようになります。
| 税金 | 社会保険料 | |
|---|---|---|
| 代表例 | 所得税・住民税 | 健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険 |
| 主な役割 | 行政サービスなどの財源 | 病気・老後・介護・失業などのリスクに備える |
| 給与からの徴収 | あり | あり |
| 計算方法 | 税目によって異なる | 保険制度によって異なる |
重要なのは、
「給与から差し引かれる」という共通点があるからといって、同じ制度ではない
ということです。
なぜ全部「税金」のように感じるのか
理由の一つは、給与明細の見え方にあると思います。
たとえば、
額面給与30万円
↓
健康保険料
厚生年金保険料
雇用保険料
所得税
住民税
↓
手取り
という形で表示されていれば、受け取る側から見ると、
「全部、給料から引かれているお金」
に見えます。
しかし、一つひとつを見ると役割は異なります。
この違いを理解すると、給与明細は単なる「引かれた金額の一覧」ではなくなります。
給与明細に書かれている項目を「税金」「社会保険料」「その他」に分けて考える方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

社会保険料は「払って終わり」ではない
給与明細を見ると、
「社会保険料、高いな」
と感じることもあるでしょう。
しかし、社会保険料は単に手取りを減らすためのお金ではありません。
健康保険なら、医療費の自己負担、高額療養費、傷病手当金などに関係します。
厚生年金なら、老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金にも関係します。
雇用保険も、失業時だけでなく、育児休業などに関係する給付があります。
介護保険は、介護が必要になった人を社会全体で支える仕組みです。
つまり、
「いくら引かれているか」
だけではなく、
「何のために負担しているのか」
まで見ることが重要です。
税金も社会保険料も「仕組みを知る」ことから始める
税金や社会保険料について調べていると、
「どうすれば税金を減らせる?」
「どうすれば社会保険料を安くできる?」
という情報を目にすることがあります。
もちろん、負担額を理解することも大切です。
しかし、その前に、
そもそも何を払っているのか
を理解することが重要だと私は考えています。
制度を理解して初めて、
「自分の場合はどうなのか?」
と考えられるからです。
Money Literacy Labで大切にしたいのも、この順番です。
制度を知る。
仕組みを理解する。
自分の場合について考える。
そして、自分なりに選択する。
「どうすれば得をするのか」を考える前に、まず自分が何を負担しているのかを知る。
それだけでも、お金との向き合い方は少し変わるのではないでしょうか。
まとめ|「給料から引かれるお金=全部税金」ではない
給与から差し引かれるお金は、すべて税金ではありません。
所得税や住民税は税金。
健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料などは社会保険料です。
まずは、この違いを知るだけでも給与明細はかなり読みやすくなります。
そして、もう一歩進んで、
なぜこのお金を負担しているのか
どのような仕組みで金額が決まるのか
まで理解すると、自分のお金について考えるための材料が増えていきます。
お金の知識は、単に「得をするため」のものではありません。
自分のお金について、自分で判断できるようになるためのもの。
Money Literacy Labでは、そんな視点から税金や社会保険について一つずつ整理していきたいと思います。
※本記事は、記事執筆時点の国税庁、総務省、厚生労働省、日本年金機構、全国健康保険協会などの公的機関の情報をもとに、税金および社会保険制度について一般的な情報を提供することを目的として作成しています。内容の正確性には十分配慮していますが、税制、社会保険制度、保険料率等は改正される場合があります。また、実際の税額や社会保険料、給与からの控除内容は、所得、年齢、勤務形態、勤務先、加入している健康保険、家族構成などによって異なります。本記事の内容は、個別の状況に対する税務・社会保険等の専門的な助言を行うものではありません。具体的な取扱いについては、国税庁、地方公共団体、日本年金機構、加入している健康保険の保険者、勤務先の給与・社会保険担当部署、税理士などにご確認ください。

